21世紀は、いままで経験したことのないボーダーレス社会がますます進行するといわれていますが、これはそれぞれの民族が長い歴史の中で培ってきた固有の文化や言語が一元化されるものではありません。多様な文化が共存し、その文化の下で暮らしている多様な人たちが相互の理解と相互の協力をすすめる友好関係を構築してこそ、真のボーダーレス社会になるものと確信しています。
東アジア地域は、歴史的に中国大陸で花開いた高度な文明・文化の影響を大きく受け、多様な文化が共存する独自の文化圏を築いてきましたが、特に産業革命以降、社会が「停滞」しているといわれてきました。
しかし、東アジア地域における経済発展、生活水準の向上は、その「停滞」を過去のものとするだけでなく、いわゆる持続的発展を現実のものとするためにも、いまあらためて東アジア地域がはぐくんできた伝統、文化、宗教、哲学等にあらためて見直しがくわえられようとしています。
このような中で、東アジア地域で歴史的、政治的、経済的に大きな地位を占める中国の言語や文化、歴史を学ぼうという国際的な流れが広がり、いまや中国語学習人口は1億人に上っています。
これをふまえ、中国政府は、中国語学習者を支援し、世界の人々と中国の人々との相互理解と友好を促進し、ひいては世界平和に貢献するために、世界のいくつかの国に現地の大学等と協力して「孔子学院」を設置することとしました。
世界各地域の孔子学院は、教材(教科書、図書、雑誌、資料、ビデオ、DVDなど)の提供や講師の派遣、中国語能力試験、奨学金支給など中国政府の協力のもと活動を行っています。